ソロギターの独学のやり方とフィンガーピッキングギタリスト解説
Giuseppe PotenzaによるPixabayからの画像

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アコギの演奏には「弾き語り」と双璧をなすインスト演奏の「ソロギター」があります。
英語圏では「Fingerstyle」と呼ばれています。
「ソロギター」では伴奏からリズム、テーマ部分や歌メロに至るまでを、
すべてギター一本で表現する演奏方法です。
一度ハマるととってもたのしく、奥深いプレイスタイルです。
本記事ではソロギターの独学練習方法と、
国内外のフィンガーピッキングギタリストとその歴史をかんたんにご紹介いたします。

(※ちなみに似ている言葉の「ギターソロ」は、
曲の間奏部分単音のピッキングを主体にメロディを組み立て演奏される「ソロパート」を意味します)
 

ソロギターの魅力

「ソロギター」は「コードのみの演奏」や「弾き語り」には無い、
また違った楽しみがあります。

ソロギターの魅力 その1「一人で全部表現できる」

「ソロギター」の場合は、演奏曲目のパートを一人で全部表現できます。

厳密にいうと演奏できるレベルに音数を減らしたりアレンジを施していくことになりますが、
基本的な伴奏と歌メロ(歌ありの場合は)やテーマ部分を一人で、ギター一本で表現していくことができます。

バンドメンバーやセッションメンバーがいない場合や、友達に楽器演奏者がいない場合、
単純に友達がいない場合(泣)などでも一人で演奏を楽しんでいくことができます。

特に新型コロナウイルスで密を避けなければいけない今、特に一人で深めて楽しんでいける演奏スタイルです。

ソロギターの魅力 その2「自分で歌えない曲も演奏できる」

歌モノを演奏する際でも、弾き語りのように自分の声に制限されてしまうことがありません。
男性でも女性の声の高さの曲を、女性でも男性の声の高さの曲を自由に演奏していくことができます

単純に自分の声域では歌えないような曲も演奏できるためとても楽しいです。
また自分の歌に自信が持てない方でも自信を持って演奏できるスタイルです。

ソロギターの魅力 その3「全くわからない言語の曲も演奏できる」

英語の曲なら耳馴染みもあり、わからないなりにもなんとなく口ずさめたりできないでしょうか?
今はYouTubeで世界中の曲に触れる機会があります。
そんな中で気に入った曲に出会えても、まったく知らない言語の場合は鼻歌を歌うことすら難かしくなります

そんな場合でもソロギターであれば音を拾って演奏していくことができるため、
言語の壁を越えてカバー演奏を楽しむことができます

わたしも言語が全く分からないタイのドラマの曲をコピーしたりして楽しんでいます。↓

ソロギターの魅力 その4「歌の無い曲(インスト)でも演奏ができる」

ソロギターだと、歌の無いインストゥルメンタルの曲もカバー演奏を楽しむことができます。
ゲームや映画のサウンドトラックの曲をアコギ一本で演奏できるのもソロギターならではの楽しみです。

ソロギターの魅力 その5「アコギ演奏がより楽しくなる」

ソロギターを演奏していくと、必然的に技術が上がってきます。
テクニックを身に着けるたびに表現できる幅が広がるためです。

必要な技術や知識をさらにつけようとしていくなかで、アコギの演奏がより楽しくなってきます。

 



ソロギターに必要なもの

ソロギターにはある程度の技術が求められます。
実際に演奏されている音源を聞いたり動画を見たりすると、
とても演奏できるとは思えないようなレベルのものもたくさんあります。

ですが、焦らずひとつひとつを必要な技術や知識を確認していくとそこまで難しいものではありません。
あまりにレベルの高いものばかり見てしまって自信や気持ちを折ってしまう前に、
必要なものを確認してみましょう。

ソロギターに必要なもの その1「アルペジオ演奏」

ソロギターでは基本構成として、
アルペジオ」の分散和音で伴奏をしつつ、メロディ部分を演奏していくことになります。

主に「1-3弦」で「メロディ」を演奏し、
「5-6弦」で「ベース音」を演奏します

加えて親指で6弦や5弦を叩いて「サムヒット(ストリングヒット)」を行ってリズムを表現したりもします。

そのためまずはアルペジオの基本パターンなどを指にしっかり覚えさせておけると習得が早くなります。
アルペジオがしっかり演奏できればすぐにソロギターに挑戦することができます。

一度鳴らした弦はできるかぎり他の指でら触れてしまわないよう、
他のメロディを弾く指で触れて音を止めてしまわないようにして、次の音まで伸ばしていきましょう。

ソロギターに必要なもの その2「耳コピ演奏」

コード表以上にTAB譜など販売されているものが少ないため、
耳コピ」ができるようになっているととても便利です。

と言っても難しく考えずに、まずは原曲のキーのコードを探していきましょう。
その後はわかったコードを分解して必要な音を拾っていく作業になります。

押さえるコードフォームの中に目的の音が無くても、押さえている指の近くや開放弦など、
そのコードフォームの付近に必要な音がたいてい隠れています。

演奏したい曲の歌メロやテーマ部分のメロディが口ずさめるようになっていると、
音を探していくことがより簡単になります。

ソロギターに必要なもの その3「カポタスト」

耳コピでわかったコードのポジションがハイポジションばかりで、
バレーコードばかりになる場合は積極的に「カポ」を使って演奏しやすいポジションに「移調」してあげましょう。

ソロギターに必要なもの その4「メトロノーム」

「ソロギター」では一本ですべての演奏を表現するため、
少しのミスがどうしても悪目立ちしてしまうときがあります。
またバンド演奏や弾き語りの時とも違い、リズムを自分でキープしてあげないとうまく演奏が進行できなくなったりもします。
そのため、練習の段階から「メトロノーム」を積極的に取り入れてリズムキープとその状態でのミスの削減ができるととても素敵な演奏になります。

ソロギターに必要なもの その5「細かな表現方法のテクニック、小ネタ」

ハンマリングオン」から「プリングオフ」、
スライド」や「スラップ」、
サムヒット(ストリングヒット)」など「細かな演奏テクニック・小ネタ
」が必要になります。

使わなくても音が合っていれば演奏は円滑に行えますが、
細かいテクニックが使えると、例えば歌モノをソロギターで演奏する場合などより歌に近い表現でもって演奏をすることができます。

また親指などでリズムを刻む「サムヒット・ストリングスヒット」を使ったり、
ベース音をテンポよく鳴らしていくことで、伴奏部分やリズム部分をより表現することができます。

 

 



ソロギター・フィンガーピッキングの歴史

ソロギターの歴史その1/19世紀から20世紀前半第二次世界大戦期まで

ソロギターの歴史は19世紀後半から20世紀初頭のスペインのクラシックギタリストであるフランシスコ・タレガまで遡ることができます。『アルハンブラの思い出』で非常に有名です。
またその後スペインには現代クラシックギターを完成させたとされるアンドレ・セゴヴィアが続き、
映画音楽『禁じられた遊び』で知られるナルシソ・イエペスまで続きます。

20世紀に入りジャズ隆盛の頃、
ジプシースウィングスタイルのジャンゴ・ラインハルトが伴奏楽器であったギターを主役に全面に出した即興ソロ演奏を確立します。彼の押弦する左手の障害のハンディは独自の奏法へと昇華されました。

また戦前のカントリーブルースの影響も非常に大きく残っています。
ブラインド・ブレイクに代表されるラグタイムブルーススタイルのスタンブリングベース奏法は、
現代のソロギター・フィンガーピッキング奏法への大きな影響を与えています。

これらの影響を統合し自身の演奏スタイルを確立したのがチェットアトキンスと言われています。
 

ソロギターの歴史その2/第二次大戦後の20世紀から現代まで

エレキギターにおけるエリック・クラプトン/ジェフベック、/ジミー・ペイジの三大ギタリストや、
ジョン・フルシアンテ/ジョン・メイヤー/デレク・トラックスの新三大ギタリストのように、
アコースティックギターにも三大ギタリストが知られています。

チェットアトキンス、マイケルヘッジス、トミーエマニュエルの三名です。

チェットアトキンス

チェットアトキンスはカントリーブルースをはじめ、
ジャズやクラシックなど様々なギタリストから影響を受け自身のスタイルを確立しました。
現代的なソロギター・フィンガーピッキングスタイルの元祖です。
親指でリズムとベースを演奏しつつメロディをフィンガーピッキングする、
マール・トラヴィスが用いたギャロッピング奏法をサムピックを用いつつさらに発展させた奏法は、
その後のソロギタリストはもちろんロックミュージシャンなど様々に大きな影響を与えています。
 

マイケルヘッジス

マイケル・ヘッジスは変則チューニングを用いた幻想的な開放弦の音や、
スラップやタッピングなど唯一無二のアコースティックギター奏者です。
彼もチェットアトキンスに影響を受けています。
マイケルヘッジスの所属したレコード会社であるウィンダム・ヒル・レコードは、
現代のソロギターに非常に重要な役割を果たしています。

ウィンダム・ヒル・レコードはギタリストのウィリアムアッカーマンにより設立されたレコード・レーベルで、
透明感のあるインストゥルメンタルを多くリリースしています。
「ニューエイジミュージック(癒し系)」の代表的なレーベルとしても知られています。

またウィンダム・ヒル・レコードは、
ジョージ・ベンソンの弟子でありチェットアトキンスに影響を受けているフュージョンアコースティックギタリストのアールクルーも在籍したことで知られています。

 

トミー・エマニュエル

トミー・エマニュエルは現代のナンバー1アコースティックギタープレイヤーです。
彼もチェットアトキンスの影響を受けています。
サムピックを使用した演奏ももちろんのこと、
通常のピックを用いつつフィンガーピッキングも行う、
「ハイブリッドピッキング」の名手として知られています。
文字通りアコギを弾き倒さん勢いのプレイは圧巻です。
 

ニューエイジ・ミュージック

ニューエイジ・ミュージックは日本国内では「癒やし系」としても人気を博したジャンルです。
アメリカの「ニューエイジ思想」と関係のある方もいなくはなかったようですが、大半は無関係だったそうです。
歴史経緯としてはブライアンイーノにより確立するアンビエントミュージックに言及されています。
最初期は実験的な音楽性が多かったそうですが、
時代が進むにつれて楽曲の傾向としてヨガやセラピー、マッサージなどで用いられるヒーリング系ミュージックをはじめ、
フュージョン的なワールドミュージック・イージーリスニングなどなどインストゥルメント作品に多く共通点があるジャンルとなっています。
ケルト音楽のバンド・ミュージシャンも時代的にここにカテゴリされる傾向があります(クラナド・エンヤ・ケルティックウーマンなど)。
日本国内のミュージシャンとしては、
喜多郎や坂本龍一、久石譲、平沢進など現代音楽のトップが複数該当しております。
 

日本国内のソロギター・フィンガーピッキングの代表的ギタリスト

中川イサト

中川イサトさんはフォークグループ「五つの赤い風船」でデビューしたシンガーソングライターです。
日本のソロギター・フィンガーピッキングギタリストの元祖。
様々なフィンガーピッキングギタリストの活動を後押ししたことでも知られています。
ピンポン球を切り接着剤で爪につけてフィンガーピックとする演奏するスタイルは、
プロからアマチュア愛好家までさまざまなフィンガーピッキング奏者にいまでも愛されています。

岸部眞明

岸部眞明さんは中川イサトさんに師事した日本を代表するフィンガーピッキングギタリストです。

打田十紀夫

打田十紀夫さんはカントリーブルースギタリストのステファン・グロスマンに師事した、
日本を代表するフィンガーピッキングギタリストです。
ルーツであるカントリーブルースのラグタイムスタイルやスライド奏法をはじめ、
非常に貴重なオープンチューニング
についての著作などさまざまな書籍も出版されています。
またプロレスリングに造詣が深いことでも知られています。

ゴンチチ

ゴンチチはゴンザレス三上さんとチチ松村さんからなるアコースティックギターデュオです。
ステージでは下手にゴンザレス三上さん、上手にチチ松村さんで出演されています。
ニューエイジ・ミュージックやフュージョンにカテゴリされることも多いです。
映画やドラマをはじめ天気予報など、様々なシーンのBGMを提供しています。

住出勝則

住出勝則さんはフォークグループ「シグナル」でデビューしたギタリストです。
オーストラリアへ移住された40代から猛練習の果にアコースティックソロギターへ転向し、
精力的活動されています。

押尾コータロー

押尾コータローさんは、
マイケル・ヘッジスからの流れを汲むタッピング奏法や変則チューニングを使いこなし、
日本国内でフィンガーピッキング・アコースティックソロギターの存在を大きく広めたギタリストです。
中川イサトさんへ師事していたことでも知られています。
様々なミュージシャンとの共演も多く、後進となるペッテリ・サリオラとも演奏されています。

南澤大介

南澤大介さんは、
マイケル・ヘッジスをはじめとしたウィンダムヒルレーベルのギタリストの影響を反映した演奏をされています。
ゲームやアニメ音楽のソロギターアレンジで非常に有名です。
日本国内のソロギター初心者のための書籍も複数著作されております

 

古川忠義

古川忠義さんは、大阪を拠点に活躍する超絶技巧で知られるソロギタリストです。
ナイロン弦のギターをメインに使用されているので、
クラシックギタリストと思われがちですが、一人ベンチャーズのアレンジは並び立つギタリストがいないとされており、
幅広いジャンルのプレイヤーとしても知られています。

国内外のルシアーギターとのつながりも深い知る人ぞ知るギターショップ、
ドルフィンギターズで現役のギター講師もつとめられています。

またアコースティックギター初心者の方はもちろんのこと、ソロギターに特化したDVDレッスンを販売されており、
教室が苦手な方やオンラインが苦手な方にも取り組みやすい非常に良質な教材を制作されております。

 

【アコースティックギター初心者の方向けのレッスン】



 

【ソロギターのレッスン】



 

またYouTubeで好きな曲とソロギターで検索すると、たくさんの有名無名のソロギタリストが出てきます。
皆さんとても上手です。
耳コピで演奏されている方やピアノ譜から音を取って演奏されている方など、
様々なアプローチでソロギターをされておりますのでたくさん聞いて楽しみながら勉強していけるといいですね。
その中であなたの好きなスタイルが見つかると幸いです。
 

おわりに

ソロギターは演奏の形になるまでとても時間がかかってしまうので、
アコギ演奏の一つの到達点的奏法ですが、できるようになると演奏の幅がより広がりますし、
演奏する曲の理解も深まる効果もあります。
シンプルにアコギがより楽しくなっていきます。

アコギは一生たのしめるものですので、
目標の曲を見つけたらマイペースに習得までを楽しんでいきましょう。

 



 

 

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