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アルペジオの特徴
よりアコギの魅力が伝わる演奏に、「アルペジオ」があります。
アルペジオは、押さえたコードを「ストローク」のようにジャラーンとせず、
指で一弦ずつばらばらに、コードの音を分解して弾く(ピッキングする)奏法です。
「分散和音」とも呼ばれています。
ストロークでジャカジャカと弾くのもたのしいですが、
アルペジオを習得すると演奏表現方法がさらに広がってとてもたのしいです。
バラードやスローテンポのしっとりとした曲調に特に似合います。
弾き語りの伴奏にも使われますし、ソロギターの入り口にもなる演奏技術です。
アルペジオの弾き方の種類(なにで弾くか)
アルペジオは、ピッキングの際「なにを」使って弾くかでいくつかの種類に分類できます。
音色や演奏性、日々のお手入れはもちろん、
「個人の好み」にかなり関わってきますので、色々試して一番好きな方法を見つけてください。
ギターピックを使ったアルペジオ
通常のギターピックを使用して演奏するアルペジオです。
単音演奏を行う場合と同様に「ダウンピッキング」と「アップピッキング」を交互に行っていく、
「オルタネイトピッキング」が大事になります。
また、例えば6弦の5~8フレットを続けてピッキングするような同一弦上のピッキングを行う場合と違い、
アルペジオの場合では弦と弦との間の「上下の動き」が必要になります。
よりスムーズに演奏するコツとして、
上下の弦の移動に応じてピッキングの「手の位置」ごと変えて演奏していくことが大事になってきます。
通常のギターピックを用いた演奏のため、
弾き語りなどではAメロBメロ部分ではピックのアルペジオを行い、
サビでピックのストロークをしたりとメリハリをつけた演奏ができます。
指肉を使ったアルペジオ
本項以下のアルペジオは、広義の「フィンガーピッキング」奏法になります。
親指、人差し指、中指の3本を用いる場合は「スリーフィンガー」奏法と呼ばれ、
親指、人差し指、中指、薬指の4本を用いる場合は「フォーフィンガー」奏法と呼ばれています。
指での演奏の際に、普段の生活で邪魔にならないようなごく普通の深爪にしていると、
ピックや爪での演奏の際の音色よりも「角のとれた、丸みのある温かい音色」になります。
…というと聞こえが良いのですが、ピック使ったり爪をしっかり伸ばして演奏する音と比較すると、
明らかに音量が下がったり音の輪郭がぼやけてしまう傾向にあります。
とはいえこれも好みですので、比較して好ましければもちろんそれが「正解」になります。
わたしは個人的に落ち着いていて結構好きな音です。しかも手入れも無いので(笑)
演奏の際のコツとしては弦に指の腹を引っ掛けるイメージではじいて鳴らしていくことがあげられます。
少しベースのスラップ奏法系の感覚が近いかもしれません。
親指は弦に向かって振り下ろしたり、弦に指の腹を引っ掛けてながら弾いたりします。
感覚的にはダウンピッキングの要領になります。
人差し指以下の指は「アップピッキング」の感覚になります。
コツをつかむまで指がこんがらがってしまいそうになりますが、
身に着けるとピック演奏とは違った快適さと自由さがあるため、とても楽しいです。
爪を使ったアルペジオ
指の爪を使用したアルペジオです。
厳密には「指肉と爪の間」を使うイメージです。
爪の内側が指肉と共に弦にヒットして音量も出て、音の輪郭も浮き上がります。
深爪の指よりも鋭い、硬い印象の音色になります。
エッジの利いた音を出せてかつ、自由度の高い演奏ができます。
元来は主にクラシックギター、ガットギターでの演奏に用いられることが多かったようですが、
ソロギターなどアコギのインスト演奏が確立した後は爪をしっかり育成して演奏する方も増えています。
爪の保護にジェルネイルを施したり、付け爪をしたりと、爪のメンテナンスが求められてきます。
追求し始めると様々な方法がありますがかなりの労力がかかるため、
現実的には指板側の指は深爪にして、
ピッキング側の指は少し爪を伸ばして維持して演奏する方が一番多いようです。
フィンガーピックを使ったアルペジオ
「フィンガーピック」を使ったアルペジオです。
仕事で爪が伸ばせなかったり、爪のメンテナンスが困難な方の中でも、
音量と輪郭のはっきりした音色を望む方に好まれています。
基本的には指にはめて使用しますが、かなり様々な材質や形状など種類があります。
一番スタンダードなものとして親指に「サムピック」を装着し、
他の人差し指から薬指までには、「フィンガーピック」を装着して演奏するというものがあります。
少し加工が必要だったり、使いこなすコツを習得するのにも少し練習をしないといけなくなりますが、
爪のメンテナンスがフリーになり、安定した音量とギターピックの輪郭を得られるため選択肢として十分甲斐があります。
アコギ指アルペジオのピッキング基本構成
フィンガーアルペジオは主に指3本から4本を使用して演奏します。
「スリーフィンガー」または「フォーフィンガー」と呼ばれており、
譜面によっては演奏する指の指示も表記されています。
そのためにも指アルペジオの構成、各指の役割を見ていきましょう。
アコギ指アルペジオの親指
親指は基本は6弦か5弦の低音源を担当します。
曲中の「ベース音」を担う指です。
アコギ指アルペジオの他の指
人差し指や中指は4弦や3弦を担当することが多いです。
スリーフィンガーの場合ですと、
中指が2弦や1弦などの高音弦を担当することになります。
フォーフィンガーだと
薬指が2弦や1弦などの高音弦を担当することになります。
いずれの指も「アップピッキング」の要領で弾いていきます。
「アポヤンド」と「アルアイレ」
よくアルペジオ奏法の二大巨頭として、
「アポヤンド」と「アルアイレ」紹介されています。
元々はクラシックギター(ナイロン弦の演奏)奏法解説に用いられている用語で、
広く知られています。
ただ、「アポヤンド」はめちゃくちゃ難しいです。
難易度的にはちょっと並び立たないほど難しさがあります。
難しいけどめちゃくちゃ良い音な「アポヤンド」
アポヤンドは弾いたあとの指が「隣り合う弦の上にのっかかる」弾き方です。
やってみると非常によくわかりますが、
「雑音なく大きく抜けの良い綺麗な音」が出せます。
ただ、アコギ等のスティール弦のギターだと慣れるまでかなり難しいです。
ギターの持ち方にも関わってきます。
コツや感覚としては、
上から弦を強く押さえて「ぶるん」と指がずれて隣り合う弦で止まるというのが繰り返されます。
弦同士の前後に指が動く感覚です。
初心者でも習得しやすい「アルアイレ」
「アルアイレ」は、アポヤンドとは違い弦を弾いたりはじいたりしたあとに、
空中へ指が流れる演奏方法です。
強弱もつけやすく、アコギの場合だとかなり入っていきやすい奏法になっています。
アポヤンドを習得する場合でも、
初心者の方であればアルアイレから入っていくと非常に習得がはやく、演奏を楽しめるようになるのが早いです。
コツや感覚としては人差し指と中指で「歩く人のものまね」をするのに近いです。
立体に上下に指が回転する感覚です。
アコギ指アルペジオの基本の動き
スリーフィンガーでもフォーフィンガーでも、
アルペジオにはいくつかの基本パターンがあるので、
この動きを覚えてしまうと演奏がよりスムーズになります。
指が絡まりそうになりますが継続することでコツが必ずつかめます。
親指の動きはスリーフィンガーでもフォーフィンガーでも大きく変わりません。
お好みのオープンコードを押さえた状態で、
低音源側の弦から分解して演奏してみましょう。
Cの場合は5弦3フレットを親指で弾いてはじめていきます。
Dの場合は4弦の開放弦を、
Eの場合は6弦の開放弦を、
Gの場合は6弦の3フレットを、
Aの場合は5弦の開放弦からそれぞれ親指で弾いてみましょう。
アコギ指アルペジオ「スリーフィンガー」
人差し指は4弦、中指は3弦を弾いてみましょう。
スリーフィンガーの場合は、
1.親指
2.人差し指
3.中指
4.人差し指
と弾いていくと、これだけでなんだか「ぽい感じ」になります。
これをループして演奏するとアルペジオなフレーズになります。
アコギ指アルペジオ「フォーフィンガー」パターンその1
フォーフィンガーの場合は4弦、中指は3弦、薬指は2弦を弾いてみましょう。
1.親指
2.人差し指
3.中指
4.薬指
5.中指
6.人差し指
と弾いていくと、アルペジオらしいフレーズになります。
これをループして演奏するとバラード風なアルペジオ演奏ができます。
アコギ指アルペジオ「フォーフィンガー」パターンその2
フォーフィンガーの場合、スリーフィンガーよりも自由に様々フレーズを演奏できます。
パターンを持っておくと色んな曲に対応できて便利です。
余談:アコギ指アルペジオ「ツーフィンガー」
親指を軸に人差し指と2本で演奏します。
親指と人差し指だけだと非常によく回転するため、「速弾き」に向きます。
多用するとカントリー風の演奏になります。
ポイントで起用すると曲のアクセントになります。
アルペジオ 親指以外の指の練習・ストレッチ
アルペジオですべての指を自由に動かしていくには、
指自体に動きに慣れさせるため少し時間がかかります。
人差し指と中指、薬指だけでアルペジオパターンを演奏して指に動きを覚えさせてあげましょう。
人差し指~薬指までを、それぞれ3~1弦の担当をさせてアルペジオパターンを繰り返していきます。
タイマーなどで5分~10分など時間を決めて練習するとダラダラすることもなく短時間で終えられます。
人差し指~薬指のセットでの練習に慣れた後は、
「人差し指のみ」で3~1弦をタイマーで区切り練習したり、
「中指のみ」や「薬指のみ」などの制限をかけた練習も効果的です。
より細かく指に動きをおぼえさせていけます。
少しずつ継続して指に動きを覚えさせていきましょう。
指板側のアルペジオのコツ
いすれのアルペジオでも、弦を押さえる側では下記の4点が大事なポイントになってきます。
- フレット側を狙って押さえること
- 押さえた弦をキープすること
- 振動している弦に触れないこと
- 余分な弦をミュートすること
よりフレット側を狙って押さえる
音が出しやすくもなりますし、押さえた弦を保持しやすくもなります。
コードチェンジの際に音が止まってしまわないよう、
フレット側をしっかり狙って音がしっかり出るポイントを押さえるようにしてみましょう。
押さえた弦をキープする
コードを押さえている指のホールド・キープ・保持につとめましょう。
指板側で押弦を保持できないと音の伸び(=サステイン)が得られないためです。
アルペジオの場合は1弦ずつ音を伸ばして演奏するため、
ストロークの場合より音が途切れると悪目立ちしてしまいます。
逆にしっかりキープできると非常にきれいに聞こえます。
指をたてて弦を押さえる(ほかの弦に触れない)
コードの押さえ方のコツと重複するのですが、
指をしっかり立てて他の弦に触れてしまって音を消さないように気を付けましょう。
アルペジオの場合は1弦ずつ音を伸ばして演奏するため、
押さえている指が他の弦に触れてしまって音を止めてしまうと、
曲の雰囲気がどうしても崩れてしまいます。
逆にしっかりキープできると非常にきれいに聞こえます。
できる限り指を立てて他の鳴っている弦に触れないように注意をしましょう。
余分な弦のミュート
余分な弦がならないようにミュート(消音)に気を配ることです。
必要に応じて立てるとは逆に指を寝かせることが必要になることもあります。
まとめ
ストロークに続いてアルペジオの基本動作を覚えてしまうと、
ほぼ一生アコギで遊ぶことができます。
弾き方の引き出しが増えると演奏できる曲も増え、
表現方法も増えますのでぜひ一緒に習得していきましょう。